放熱性が高くてデータ転送速度が高速な高品質のThunderbolt(サンダーボルト)接続のSSDケースを探した結果、1つ前の記事で紹介した「Samsung Portable SSD X5」にたどり着いたせきねさんです。
前回の記事ではポータブルSSD「X5」を頑張って分解し、中に入っている「SSD」を取り出すところまで出来たので、今回は中身を取り出して空っぽになった「X5」の中に市販の「PCIe接続のM.2 SSD」を取り付けてSSDケース代わりに使用できるかのかどうかを確認してみます。
↑「X5」は市販のSSDケースにはまず存在しない光沢塗装やマグネシウム製フルメタルボディなどの特徴を持つ贅沢仕様なので、中身のSSDを自由に入れ替えて使えるようになれば、放熱性も性能もデザインも優れた最強のSSDケースとして役に立つはずです。
- 取り付けるSSDを用意する
- ポータブルSSD X5へのSSD取り付け
- X5に市販のSSDを装着して動作を確認
- 性能はピカイチだけどノートPCバッテリーの持続時間にやや影響あり
- たぶん最強:SSDケースとして十分利用価値のある「X5」
取り付けるSSDを用意する
分解した「X5」の中に取り付ける為にせきねさんが用意したSSDは以下の5製品です。
(2021/4/29(追記):公開当初は2製品のみでしたが後から2製品を追加)
(2024/1/20(追記):さらに1製品を追加しました)
↑WDの「WD BLUE SN550 NVMe SSD(1TB)」とSAMSUNGの「970 EVO Plus NVMe M.2(2TB)」の2製品と・・・
↑(2021/4/29 追加)WDの「WD BLUE SN550 NVMe SSD(2TB)」とSAMSUNGの「PM891a (1TB)」の2製品と・・・
↑(2024/1/20 追加)WDの「WD_BLACK SN850X NVMe SSD(4TB)」の合計5製品です。
まずは、それぞれのSSDの中身とSSD自体の性能をざっくり確認してみます。
SAMSUNG「970 EVO Plus(2TB)」
↑1つ目がサムスンの「V-NAND SSD 970 EVO Plus NVMe M.2」の2TBモデル(MZ-V7S2T0)です。
こちらは、せきねさんが大事なデータを格納する為にメインで使用予定の本命のSSDです。(日本人なので本当は国産のSSDを買いたいところですが、SSDに関しては今のところサムスン製品の出来が良いので悔しいですがサムスン製のSSDを買う事が多いせきねさんです)
↑パッケージ裏面。メーカーによる5年間または1,200TBの書込保証の付いた製品です。
↑M.2接続のSSDでは最もスタンダードな2280サイズ(22mm x 80mm)で、SATA接続の2.5インチドライブと比べるととても小さいです(同容量なのにこんなにコンパクト)。
↑SSD裏面。基板の裏面には何もチップが載っていない「片面実装」のSSDになります。また、基板の裏面に貼られたラベルはただのシールではなく・・・
↑熱伝導性の良い銅箔層(よく見ると3層ぐらいある?)を含んだ「ヒートスプレッダーラベル」になっておりラベル自体が放熱の役割を持っています。ちなみに表面も裏面もシールをはがすと保証が無くなります。
「970 EVO Plus」の性能を確認
↑「970 EVO Plus」についてメーカーが公開している製品パフォーマンスは「読込速度:最大3,500MB/s」、「書込速度:最大3,300MB/s」と記載されています。これについて実際どの程度の速度が出るのか確認してみたいのですが、せきねさんはMacユーザーで「PCIe接続のM.2 SSD」を直接接続できるMacがないので・・・
↑お子さまのゲーム用にしぶしぶ買ったPC(Windows10)に・・・
↑ちょうど良くM.2スロットの空きがあったので、こちらに・・・
↑SSDを接続して速度を確認してみます(ベンチマークだけなのでヒートシンクなし。かなり発熱するので通常使用時はヒートシンクが必要です)。
↑ベンチマークソフト(CrystalDiskMark 7.0.0)を実行したところ「読込速度:最大3,525MB/s」、「書込速度:最大3,308MB/s」と言う結果となり、公称値通りのスペックがキッチリ出る事が実際に確認できました(さすがサムスン)。
このスピードはPCIe 3.0接続のSSDの中ではほぼ最速の部類になるのですが、このスピードが出るSSDをThunderbolt 3接続のSSDケースに入れる事で、最終的にどの程度の速度まで出せるのか(どの程度速度が落ちるのか)を確認してみようと思います。
WD「WD BLUE SN550 NVMe SSD(1TB)」
↑2つ目がウェスタンデジタルのSSD「WD BLUE SN550 NVMe SSD」の1TBモデル(WDS100T2B0C)です。
奥さま用PCに使う予定のSSDなのですが、サムスンばかりだと面白くないのでサムスン以外で一番売れていそうなSSDを探した結果こちらの製品にたどり着きました。
↑パッケージ裏面。こちらもメーカーによる5年間の保証が付いた製品になります。
↑SSD本体。こちらのSSDは基板の上がとてもシンプルでスッキリしていて・・・
↑真横から見ると3分の2は何も実装されていない空き地になっています(DRAMレス設計)。
↑M.2接続のSSDでは最もスタンダードな2280サイズ(22mm x 80mm)で、TVの録画用HDDでよく使われているSATA接続の3.5インチドライブと比べるとものすごく小さく感じます(同容量なのにこんなにコンパクト)。
↑SSD裏面。基板の裏面には何もチップが載っていない「片面実装」のSSDになります。
「WD BLUE SN550 NVMe SSD(1TB)」の性能を確認
↑「WD BLUE SN550 NVMe SSD」についてメーカーが公開している製品パフォーマンスは1TBモデルの場合「読込速度:最大2,400MB/s」、「書込速度:最大1,950MB/s」と記載されています。これについて実際どの程度の速度が出るのか確認する為に・・・
↑お子さまのゲーム用PC(Win10)にSSDを接続して速度を確認してみます(こちらはとても低発熱な製品なのでヒートシンクなしでの運用も可能です)。
↑ベンチマークソフト(CrystalDiskMark 7.0.0)を実行したところ「読込速度:最大2,465MB/s」、「書込速度:最大1,984MB/s」と言う結果となり、公称値通りのスペックがキッチリ出る事が実際に確認できました(さすがWD)。
速度だけで見れば最初のサムスン製のSSDよりもだいぶ遅くは見えてはしまいますが、その分価格がとても安いですし何より低発熱・低消費電力でとてもバランスの取れた人気の高いSSDです。こちらもThunderbolt 3接続のSSDケースに入れる事で、最終的にどの程度の速度まで出せるのかを確認してみようと思います(この速度であればThunderbolt 3の帯域内に収まる速度なので速度低下しないかも?)。
(2021/4/29 追加)「WD BLUE SN550 NVMe SSD(2TB)」
↑3つ目が2つ目で紹介したWD製SSDと同じシリーズで容量が倍となる「WD BLUE SN550 NVMe SSD」の2TBモデル(WDS200T2B0C)です。
1TBモデルの発売から半年以上遅れて登場したこの2TBモデルですが、2TBの大容量で1TBモデル同様に低発熱・低消費電力でしかも低価格と言う事で売り切れ続出の人気のSSDです。(いくら安くても怪しいメーカーのSSDは怖くて買えませんが、大手メーカーであるWDのSSDであれば安心感があります)
↑SSD本体。1TBモデルよりもNANDフラッシュメモリチップが1枚多く載っていますが、こちらもDRAMレス設計なのでとてもスッキリとした見た目です。
↑大容量の2TBモデルでも裏面にはチップは実装されていない「片面実装」です(安くて怪しいメーカーの大容量モデルは両面実装の製品が多いので、安くても片面実装なのは嬉しいところです)。
「WD BLUE SN550 NVMe SSD(2TB)」の性能を確認
↑「WD BLUE SN550 NVMe SSD」についてメーカーが公開している製品パフォーマンスは2TBモデルの場合「読込速度:最大2,600MB/s」、「書込速度:最大1,800MB/s」と記載されています。読込速度は1TBモデルよりも向上しているものの、書込速度やランダム性能は1TBモデルよりも若干遅くなっています(とは言え必要純分な速度ですが)。
こちらも「X5」に取り付ける前にSSDとして実際どの程度の速度が出るのか確認する為に・・・
↑M.2スロットのあるWindows PC(Win10)にSSDを接続して速度を確認してみます(こちらの製品もヒートシンクなしでの運用が可能です。もちろんド安定を狙うなら付けてもOK)。
↑ベンチマークソフト(CrystalDiskMark 8.0.1)を実行したところ「読込速度:最大2,608MB/s」、「書込速度:最大1,841MB/s」と言う結果となり、公称値通りのスペックがキッチリ出る事が実際に確認できました(安定と信頼のWD)。
こちらもThunderbolt 3接続の帯域内に収まる速度なので「X5」に入れてどの程度の速度出るのか楽しみです。
(2021/4/29 追加)SAMSUNG「PM981a(1TB)」
↑4つ目がサムスンの「PM981a(MZ-VLB1T0B)」の1TBモデル(MZVLB1T0HBLR-00007)です。
こちらは店頭ではあまり見かける事のないSSDで、組み込み製品やOEM向けのSSDでネットオークションサイトで時々売っていたりします(HPやDELL等のPCを分解するとこのSSDが入っていることがある)。モノ自体はサムスン製と言う事でかなりハイスペックなのですが、何かをバラして出てきた製品なので製品保証などはもちろんありません。ですがその分スペックの割にお安く販売されている事が多いです。
「PM981a(1TB)」の性能を確認
↑サムスンのWebサイト上で製品スペックを確認する事が可能で、メーカーが公開している製品パフォーマンスとしては「読込速度:最大3,500MB/s」、「書込速度:最大3,000MB/s」と記載されており、スペック的には「970 EVO Plus」に近いスペックのSSDです。
「X5」に取り付ける前に実測でどの程度の速度が出るのか確認する為に・・・
↑M.2スロットのあるWindows PC(Win10)にSSDを接続して速度を確認してみます(こちらの製品は発熱が大きいので実運用時にはヒートシンクが必要です)。
↑ベンチマークソフト(CrystalDiskMark 7.0.0)を実行したところ「読込速度:最大3,530MB/s」、「書込速度:最大3,033MB/s」と言う結果となり、公称値通りのスペックが出る事が実際に確認できました(さすがサムスン速い速い)。
こちらのSSDは組み込み向けと言う事で、「X5」の1TBモデルに搭載されている製品に近いのかなと考えて「これならX5で絶対使えるだろう」と思って購入してみたのですが、この後意外な結果が待っていました・・・。
(2024/1/20 追加)「WD_BLACK SN850X NVMe SSD(4TB)」
↑5つ目がWD製の「WD_BLACK SN850X NVMe SSD」の4TBモデル(WWDS400T2X0E)です。
↑表面。これまで紹介したSSDよりもだいぶ新しい世代のSSDではありますが電力的には3.3V(ボルト)の2.8A(アンペア)と記載されておりそれなりに電気を食いそうです(PM981aと同じ)。NANDフラッシュはSanDisk製で表面に2枚と・・・
↑裏面に2枚の合計4枚のNANDフラッシュが実装されています。
↑真横から。両面実装のSSDです(両面実装のSSDはなるべく避けていたのですが、4TBという大容量が便利で買ってしまいました)。
「WD_BLACK SN850X NVMe SSD(4TB)」の性能
↑実測はしませんでしたが、こちらはPCIe 4.0(Gen 4)接続に対応しており「読込速度:最大7,300MB/s」、「書込速度:最大6,600MB/s」のSSDです。Thunderbolt 3接続の帯域の2倍近いスピードが出るSSDなので「X5」に入れてることで、「X5」の性能をフルに引き出せる可能性がありそうです。
ポータブルSSD X5へのSSD取り付け
それでは分解した「Samsung Portable SSD X5」に購入したSSDを取り付けます。「X5」の分解方法については1つ前の「分解手順編」の記事を見てください。
↑元々取り付けられていたSSDを取り外した状態の「X5」のメイン基板。
ちなみに元々は「片面実装」のSSDが取り付けられていたのですが、基板上に貼り付けられているピンク色の熱伝導シートは簡単に取り外す事ができるので、この熱伝導シートを剥がせば・・・
↑「両面実装」のSSDでもスペース的には収まると思われます。但しこちらの製品は片面実装のSSD用に設計されているはずなので、両面実装のSSDでしっかり放熱できるかどうかは不明です(片面実装のSSDを購入するのが無難だと思います)。
SSDの取り付け手順
SSDの取り付け方法は説明不要かもしれませんが、一応説明すると・・・
↑まずはSSDを斜めに傾けた状態でM.2スロットに差し込みます。
↑M.2スロットに差し込む際はSSD先端の(金メッキの)端子が見えなくなるくらいまでしっかりと差し込みます。
↑あとはSSDを水平に倒し下に敷かれているピンク色の熱伝導シートに密着させてあげればOKです。
↑SSDの端はネジで固定できるようになっているので、元々取り付けられていたネジを使用してしっかり固定しましょう(アースや放熱の意味も多少なりともあるので、安定動作のために必ずネジは取り付けましょう)。
↑あとはケースに戻して分解の逆の手順で組み立てるだけです(画像はWDのSSDを取り付けた際の画像)。
X5に市販のSSDを装着して動作を確認
それでは、ポータブルSSD X5をSSDケースとして利用する為に以下の5製品を実際に取り付けて動作を確認してみます。
・SAMSUNG 970 EVO Plus(2TB)
・WD BLUE SN550(1TB)
・WD BLUE SN550(2TB)
・SAMSUNG PM981a(1TB)
・WD_BLACK SN850X(4TB)
「970 EVO Plus(2TB)」の動作確認
↑1つ目としてサムスン製の「970 EVO Plus(2TB)」をX5に装着して手持ちのMac mini(2018)に接続してみたところ、何の問題もなく中身のSSDを認識し・・・
↑[アプリケーション]-[ユーティリティ]-[ディスクユーティリティ.app]で確認すると「中身のSSD」の名称がしっかりと表示されフォーマットやパーティションなどドライブに対する各種操作を行うことができました。USB接続のSSDケースを使用すると中身のSSDの名称が表示されずに「ケースの名称」だけが表示されたてしまったりする事があるのですが、Thunderbolt 3接続のX5をケースとして利用した場合には「PCI-Express 外部物理ディスク」としてディスクユーティリティ上で「中身のSSD」を直接表示してくれるみたいです。
↑続いて[アプリケーション]-[ユーティリティ]-[システム情報.app]で確認してみてると「NVMExpress」のツリー表示で「970 EVO Plus(2TB)」の名称やTRIMや現在のファームウェアVer(リビジョン欄)などの詳細をしっかり確認する事ができます。
↑「Thunderbolt」ツリーを表示するとこちらでは「Portable SSD X5」と表示されておりケース側の名称も確認する事ができます。
と言う事でポータブルSSD「X5」は中身のSSDを入れ替えてもSSDケースとして利用できそうな感じです(まぁ当然と言えば当然ですが、中身を入れ替えたら全く使えないなどの変な制限がかけられていなさそうなので安心しました。Apple製品だと内部のコネクタ形状を一般的な物からわざわざ独自形状に変えて市販のSSDを利用できないようにする変な制限がよくあるので、そう言った意地悪仕様がサムスンの製品には無くて助かりました)。
Thunderbolt 3接続の「970 EVO Plus(2TB)」をベンチマーク
Thunderbolt 3接続の「X5」に取り付けた「970 EVO Plus(2TB)」でどの程度の転送速度が出せるのかベンチマークソフトを使って確認をしてみます。但しWindowsで速度を計測した際に使用したCrystalDiskMarkのMac版がないので、CrystalDiskMarkに似せて作られたMacで動作するストレージベンチマークソフト「AmorphousDiskMark.app」を使って計測をしてみます。
↑結果は「読込速度:最大2,766MB/s」で「書込速度:最大1,176MB/s」と言う結果となりました(Mac mini(2018)に接続して計測)。元々の中身のSSDのスペックが「読込速度:最大3,500MB/s」、「書込速度:最大3,300MB/s」なのでそれを踏まえると読込速度に関しては少し速度が落ちていますがこれはThunderbolt 3接続の仕様上の限界値です。ケースとして利用している「X5」の製品仕様も読込速度は最大2,800MB/sであり、それとほぼ一致しているのでThunderbolt 3接続のSSDとしてはほぼ最速値が出ていると言って良いでしょう。その一方で書込速度に関しては本来の性能の半分以下のスピードしか出ておらず残念な結果となってしまいました(それでも1,000MB/s程度までしか出ないUSB 3.2 Gen.2接続のSSDよりは高速ですが)。書き込み速度が遅い理由は正直全くわかりません。PC側の設定を見直したり接続するポートを変えたりしたのですが改善されませんし、試しにPCを変えて・・・
↑MacBook Air(M1)でも試してみましたがやはり書込速度だけ遅い結果となりました(読込は2875MB/sも出てるけど)。ソフト側も疑って異なるベンチマークソフトの・・・
↑Blackmagic Disk Speed Test.appでも計測してみましたが結局は似たような結果となりました。この後行ったWD製のSSDでの計測結果も考慮すると環境やソフトの問題ではなく、ケースとSSDの相性が悪いのかも?知れません(SSDが速過ぎて電気も食うので電力的な問題?さっぱり分からず)。
ちなみに、サムスンからはPCIe 4.0接続に対応した「読込速度:最大7,000MB/s」と言うハイスペックなSSD・・・
↑「Samsung 980 PRO」という製品も発売されていますが、先ほど書いた通りThunderbolt 3接続では最大でも2800MB/s程度までしか転送速度が出せないので、このSSDではオーバースペックでありThunderbolt 3接続のSSDケースで利用する場合はわざわざPCIe 4.0対応のお高いSSDを買う意味はあまりないかも知れません(速いに越した事はないので全く意味が無いとまでは言いませんが)。
「WD BLUE SN550(1TB)」の動作確認
↑2つ目はウェスタンデジタル製の「WD BLUE SN550(1TB)」をX5に装着して確認をしてみます。今度はケースと中身で異なるメーカーの組み合わせとなりますが、特に問題はないようで・・・
↑こちらもディスクユーティリティ.appで確認すると「中身のSSD」の名称がしっかりと表示されフォーマットやパーティションなどのドライブ操作も問題ありませんでした。
ちなみに同じSSDをThunderbolt 3接続ではなくUSB接続のSSDケースに入れた場合には・・・
↑ディスクユーティリティ.app上ではこんな表示となり、ケース側の名称が表示されてしまいSSDの名称は表示されません。こうなるとSSDのファームウェア更新時にうまくSSDが認識できずに困ったりする可能性があるかも知れず、そう言った点ではしっかり中身のSSDの名称が直接表示できるThunderbolt 3接続の方が何かと都合が良い事が多いです。
↑続いて、システム情報.appで確認してみてると「NVMExpress」のツリー表示で「WD BLUE SN550(1TB)」の名称(基板に貼られたシールと同じ名称:WDS100T2B0C-00PXH0)や現在のファームウェアVer(リビジョン欄)などの詳細をこちらのSSDでもしっかり確認する事ができました。
よってケース自体はサムスン製ではありますが、中身に入れるSSDに関してはサムスン製に限らず他のメーカーのSSDを入れても多くの場合は動作するのではないかと思われます。また、以下のベンチマーク結果を見ればむしろサムスン製よりもWD製のSSDの方が相性が良いのではないかと言う気持ちにもなるかも知れません。
Thunderbolt 3接続の「WD BLUE SN550(1TB)」をベンチマーク
Thunderbolt 3接続の「X5」に取り付けた「WD BLUE SN550(1TB)」ではどの程度の転送速度が出せるのかベンチマークソフト(AmorphousDiskMark.app)を使って確認をしてみました。
↑その結果がこちらです。「読込速度:最大2,454MB/s」で「書込速度:最大2,025MB/s」と言うとても良好な結果となりました(Mac mini(2018)に接続して計測)。元々の中身のSSDのスペックが「読込速度:最大2,400MB/s」、「書込速度:最大1,950MB/s」なのでそれを踏まえると読込速度・書込速度共に元のスペック以上のスピードが出ており、こちらのSSDに関しては文句無しといった感じです。「WD BLUE SN550(1TB)」はThunderbolt 3接続の転送速度の限界値(2,800MB/s)以下のスピードしか元々出ない事もあり、Thunderbolt 3接続のSSDケースに入れても特に影響を受けずにSSDの性能をフルに発揮する事ができそうです。
↑念の為Blackmagic Disk Speed Test.appでも計測してみましたがこちらのソフトでも十分な速度が出ていました。「X5」をSSDケースとして利用する場合にはお高い「970 EVO Plus(2TB)」よりも低価格・低発熱・低消費電力の「WD BLUE SN550」シリーズを使った方がお得かも知れません。(同じケースで「WD BLUE SN550(1TB)」では2,000MB/sに近い書込速度が出せるのに、より高性能な「970 EVO Plus(2TB)」では書込速度が1100MB/s程度まで遅くなってしまう理由が全く分からん。)
(2021/4/29 追加)「WD BLUE SN550(2TB)」の動作確認
↑3つ目に「WD BLUE SN550(2TB)」をX5に装着して確認をしてみます。
1TBモデルが特に問題なかったので、もちろん2TBモデルも大丈夫で・・・
↑ディスクユーティリティ.appで確認すると「中身のSSD」の名称(WDC WDS200T2B0C-00PXH0)がしっかりと表示されフォーマットやパーティションなどのドライブ操作も問題ありませんでした。
↑システム情報.appで確認してみてると「NVMExpress」のツリー表示で「WD BLUE SN550(2TB)」の名称(基板に貼られたシールと同じ名称:WDS200T2B0C-00PXH0)や現在のファームウェアVer(リビジョン欄)などの詳細をこちらのSSDでもしっかりと確認する事ができました。
Thunderbolt 3接続の「WD BLUE SN550(2TB)」をベンチマーク
Thunderbolt 3接続の「X5」に取り付けた「WD BLUE SN550(2TB)」ではどの程度の転送速度が出せるのかベンチマークソフト(AmorphousDiskMark.app)を使って確認をしてみました。
↑その結果がこちらです。「読込速度:最大2,608MB/s」で「書込速度:最大918MB/s」でした。あれ?、1TBモデル同様に良好な結果になるのかと思いきや読込速度はスペック通りきっちり速度が出ているのに、書込速度が本来のスペックの半分くらいの速度しか出ていません。
いや、実はこれはSSDやX5の問題ではなく測定環境に問題があり、この記事の公開当初は2TBモデルはまだ購入しておらず、後から追記する形で2TBモデルについて記載しているのですが、当初ベンチマーク用に使用していたMac mini(2018)がもう手元になく(売却してしまった)、MacBook Air(M1)でベンチマークをした影響で速度が出ていないものと思われます。
M1チップ搭載のMacBook Airでアレコレ操作をして気が付いたのですがベンチマークソフト(AmorphousDiskMark.app)を実行する際に・・・
↑あえて「Rosettaを使用して開く」にチェックを入れて、再度ベンチマークしてみたところ・・・
↑「読込速度:最大2,611MB/s」、「書込速度:最大1,879MB/s」と言うとても良好な結果が出ました(きっちりスペック通り)。
普通に考えるとM1チップ搭載のMacにネイティブ対応したソフトであればRosettaを経由しない方が性能が良くなりそうなのに何で逆の結果になるのか謎です(ソフトの出来が良くない?)。
ネット記事などでもインテルCPUのMacに比べてM1チップのMacだとベンチマーク結果が良くないと言う報告が多数あり、原因はよく分かっていません。アレコレ試しましたがACアダプタの接続の有無やACアダプタの電力(5W,30W,80W)にも左右される時があり(毎回必ずではないけど)、M1チップ独自の何かが影響しているのでは?と思われます。
1つ目の「970 EVO Plus(2TB)」の書込速度が遅かったのもM1チップの影響なのでは?と考えましたが「970 EVO Plus(2TB)」についてはインテルCPUのMac mini(2018)でも速度が出ていなかったのでM1チップによる影響とはまた別物です。
と言う事で、1TBモデルに引き続き「WD BLUE SN550(2TB)」であれば、Thunderbolt 3接続のSSDケース「X5」に取り付けても特に帯域不足などの影響を受けずにSSD本来の性能を発揮する事ができそうです。
大容量ですし低発熱でお安くて十分速いのでThunderbolt 3接続のSSDケースには「WD BLUE SN550(2TB)」はとてもおすすめです。
(2021/4/29 追加)「PM981a(1TB)」の動作確認
↑4つ目に「PM981a(1TB)」をX5に装着して確認をしてみます。
個人的にPM981aが一番無難そうな組み合わせだと思っていたのですが・・・
↑ディスクユーティリティ.appでフォーマットを実行したところ・・・
↑フォーマットに失敗してアンマウントされてしまいました。
何度か試すとフォーマット完了する事もあるのですが、その後書き込みしようとするとフリーズしたりアンマウントされてしまったりしてとても不安定で結局「X5」では使用できませんでした。
Macとこの「PM981a(1TB)」の相性が悪いのかともと思いましたが、試しに・・・
↑ORICO製のUSB(3.2 Gen.2)接続のSSDケースに「PM981a(1TB)」を取り付けてみたところ、特に問題なくMacでも「PM981a(1TB)」が使用できたので、Macと「PM981a(1TB)」の相性の問題ではなく、「X5」と「PM981a(1TB)」の相性が良くないようです。
と言う事で、サムスンのポータブルSSD「X5」をSSDケース代わりに使おうとした場合には100%全てのSSDが使用できる訳ではなく、このように中には使用できないSSDもあるのでその点ご理解の上でチャレンジしてみてください(取り付けてみるまで使えるかどうか分かりません。市販のSSDケースも同じですが。まぁ「PM981a(1TB)」が特殊過ぎるだけで大半は大丈夫だと思います。たぶん)。
(2024/1/20 追加)「WD_BLACK SN850X(4TB)」の動作確認
↑5つ目に「WD_BLACK SN850X NVMe SSD(4TB)」をX5に装着して確認をしてみます。
↑両面実装のSSDということで、何も考えずに取り付けると画像のようになり、SSDの下に貼られた熱伝導シートが邪魔をして基盤が曲がってしまい危険です(このまま使うとSSDの熱でチップが剥がれたり浮いたりする可能性あり)。ただX5の場合、熱伝導シートさえ剥がせば両面実装のSSDでも十分装着可能なスペースが用意されているので、シートを剥がすか薄いタイプのシートに交換して基盤が曲がらないように取り付ければ問題ありません。
↑ディスクユーティリティ.appの画像を撮り忘れましたがと「中身のSSD」の名称(WD_BLACK SN850X 4000GB)がしっかりと表示されフォーマットやパーティションなどのドライブ操作も問題ありませんでした。システム情報.appでも「NVMExpress」のツリー表示で現在のファームウェアVer(リビジョン欄)などの詳細をしっかりと確認する事ができました。
Thunderbolt 3接続の「WD_BLACK SN850X(4TB)」をベンチマーク
Thunderbolt 3接続の「X5」に取り付けた「WD_BLACK SN850X(4TB)」ではどの程度の転送速度が出せるのかベンチマークソフト(AmorphousDiskMark.app)を使って確認をしてみました。ちなみにPCを買い替えた為、測定PCがMacBook Air(M1)からMacBook Pro(M1 Pro)に変わっています。
↑ベンチマーク結果がこちらで、「読込速度:最大2,875MB/s」、「書込速度:最大2,715MB/s」の速度が出ました(速い♪)。読み込み速度は970 EVO Plus(2TB)の時と同じ最大2,875MB/sなので、読み書き共に最大2,800MB/s前後がこの製品(X5)の限界値だと思います(「X5」の限界値と言うかThunderbolt 3接続の仕様上の限界値と考えて良いと思います)。この記事を最初に公開したのが2021年で2024年の現在はより高速なUSB4接続やThunderbolt 4接続のSSDケースも沢山出回っています。ですが、やはりSSDケースとしての値段がとても高くUSB4対応・Thunderbolt 4対応と言っても実際のところベンチマーク結果的には3,000MB/s行くか行かないか程度の製品ばかりです(しかもケースの見た目もダサくて買う気にならない・・・)。と言うことでMacでSSDケースを利用するなら2024年現在も個人的には「X5」を分解して利用する方法がまだまだオススメできると思っております(せきねさん自身も今でもX5を外付けのメインSSDドライブとして使い続けておりX5を選択して正解でした)。
性能はピカイチだけどノートPCバッテリーの持続時間にやや影響あり
せきねさんはSSDケースとしてこの「X5」を3ヶ月程使用してみたところ、転送速度がとても速くて快適に使う事ができたのですが、1点だけ気になる事がありそれは・・・
と言う点です。もちろんMacをスリープに入れた場合には「X5」本体が熱を持つことは一切ありませんしアクセスランプも消灯します。デスクトップPCや電源に接続したノートPCであればSSDの待機電力なんて大した事はないので特に気にする必要はないのかも知れませんが、でもノートPCをバッテリー駆動させた場合には一定時間ノーアクセスであればSSDがスリープに入るなどして少しでも電力消費を抑えて欲しいところです。
と言うのも、せきねさんが従来から使っているUSB接続でロジテック製の2.5インチドライブケース「ガチャベイ(LGB-PBSUC)」にSATAのSSDを装着して、バッテリー駆動のMacBook Air(M1)に接続した場合・・・
↑PC使用中でもSSDへのアクセスがなければ約1分でSSDケースのアクセスランプが消灯して、SSDが熱を持つことは一切ありません(SSDケースの仕様にもよりますが)。
ですが「X5」の場合は・・・
↑バッテリー駆動のMacBook Air(M1)に接続してのSSD内のデータにはノーアクセスで1〜2時間放置してもアクセスLEDは点灯したままで本体(つまり中身のSSD)もずっとほんのり温かいままと言う事です(外付け前提のUSBと違ってPC内部で使われるPCI-Express接続だからスリープなどの概念がないのでしょうかね?)。
まぁSATA接続の方はHD時代からある接続方式なので一定時間アクセスがなければ電力供給を止める制御が昔から入っていてそれに慣れてしまっているだけの話で、SSDにとっては頻繁に電源ON/OFFを繰り返さない方が良いと言えばその通りなのでたぶんそう言う仕様なのでしょう。それにしても、常にほんのり熱を持っているのはやはり何とかならないものかなと思ってしまいます(いつでも全速力が出せるようにアイドリングしてるのかね?)。
超高速なデータ転送速度を求めてThunderbolt 3接続のSSDを購入したくせに、SSD待機時のノートPCバッテリーの事なんか気にすんなって話でもありますが・・・(使わないならアンマウントしてケーブル抜け!って事)。
SSD接続状態でノートPCのバッテリーってどれくらい持つの?
規格や速度がまるで違うので比べる事自体がナンセンスなのかも知れませんが「USB接続でSATAのSSD」と「Thunderbolt 3接続でPCIeのSSD(X5)」でバッテリーの持ち時間を比べてみました。
・PCはMacBook Air(M1)
・SSDは接続後データに一切アクセスしない(←テストする意味ある?)
・USB接続でSATAのケース:ロジテック ガチャベイ(LGB-PBSUC)
・USB接続でSATAのSSD:Samsung 860 QVO 2TB
・Thunderbolt接続でPCIeのケース:Samsung X5
・Thunderbolt接続でPCIeのSSD:Samsung 970 EVO Plus 2TB
「USB接続でSATAのSSD」の場合
↑SSDを接続した状態でノートPCからACアダプターを取り外して2分後の状態。バッテリー残り時間「12時間50分」と表示されています。念の為、そのまま放置して・・・
↑10分経過後はバッテリー残り時間「12時間39分」と表示されてました。
MacBook Air(M1)なら「USB接続でSATAのSSD」を接続しっぱなしでもSSDにアクセスしなければ12時間程度はバッテリーが持つようです。
「Thunderbolt 3接続でPCIeのSSD(X5)」の場合
↑SSDを接続した状態でノートPCからACアダプターを取り外して1分後の状態。バッテリー残り時間「7時間42分」と表示されています。念の為、そのまま放置して・・・
↑13分経過後はバッテリー残り時間「7時間02分」と表示されました。
MacBook Air(M1)なら「Thunderbolt 3接続でPCIeのSSD(X5)」を接続しっぱなしでもSSDにアクセスしなければ7時間程度はバッテリーが持つようです(7時間も持てば十分か)。
SSD内のデータに頻繁にアクセスした場合には「Thunderbolt 3接続でPCIeのSSD(X5)」の方が高速なので短時間のアクセスでデータの読み書きが終了出来る利点はありますが、それほど頻繁にSSDにアクセスせず待機時間の方が長い場合にはやはり「USB接続でSATAのSSD」の方がバッテリーが長持ちしそうな感じがします。
改めて感じるSATA接続のSSDのバランスの良さ
「速度こそ正義」だと思ってThunderbolt 3接続のSSDケース(とPCIe接続のM.2 SSD)を購入したのですが、数ヶ月間実際に使用してみて改めて感じたのが・・・
「USB接続でSATAのSSDってバランスいいな〜」って事です。
遅過ぎず、速過ぎず、電気食い過ぎず、発熱し過ぎず、価格も高過ぎずでとにかく色々ちょうど良く扱いやすい感じで、SSD内の大容量データに常にアクセスするような用途でもない限り、まだまだ「USB接続でSATAのSSD」も悪くないなと思ってしまいました(特にバッテリー駆動のノートPCは)。
たぶん最強:SSDケースとして十分利用価値のある「X5」
サムスンのThunderbolt 3接続のポータブルSSD「X5」をSSDケース代わりに3ヶ月間使ってみて、使用中に読み込みエラーや書き込みエラーなどの不具合に遭遇したことはありませんし、安物SSDケースにありがちな「スリープ復帰時にSSDがアンマウントされてしまう」などの不具合も一切ありませんでした。超高速なストレージ環境をケーブル1本でコンパクト&スマートに利用でき、PCIe接続のM.2 SSDの爆熱問題にしっかり対応できる設計によりSSDを安心・安全・ど安定に活用出来てしまう「X5」はとても信頼のできる製品だなと感じました。
中身のSSDを入れ替えて「SSDケース」として利用するイレギュラーな使い方ではありますが、やはり中身を入れ替えられる事は非常に便利ですし、活用範囲も広がり今後さらに大容量なSSD(4TBや8TB)を購入した際にも使い続ける事ができるので分解に抵抗のない方は「X5」を分解してSSDケースとして活用してみてください。